詩的迷走地図

ナビゲーションシステムなんかいらないよ、地図の方が僕にはいい、とあいつは言った。
頭を使うんだ、想像力を働かせれば、大概の道はわかるものさ。
「でも、空いている道も教えてくれるよ」
人が行かない場所へいけば、その道は空いているよ。
僕はあっけにとられていると、彼は笑ってこう言った。
君の本当に行きたいところは、ナビゲーションシステムじゃ行けないよ。

僕は旅の途中だよ。
地図なんてありはしない。
僕にあるのは意思だけだ。
旅を続けるという意思だけだよ。
だって楽しいじゃないか。
山をのぼり川をくだり海を泳いだ。
モンブランの氷河を滑り、アラフラ海の波に乗り、ドニエプル川を下り、
カンチェンジュンガからジャンプして、ティティカカ湖にダイブした。
空母インディペンデンスのカタパルトから飛び出して、
タクラマカン砂漠を飛び越えて、
アルジェでクスクスを食べて、
ナンユアン島でお茶を飲む。
今日は小熊座に向かって飛んだから、
明日はヘビ使い座に向かって泳いでみよう。
君は自由だ。


以上、風邪でぼんやりした頭の中に現れた、今日の昼下がりの白日夢。