グレートギャツビー再考

 これを読んだ方々の感想を知りたいと思ってネットを検索したのだが、この本についてピンときてない人も結構いたようだ。自分にとっても、今回読み返してみて、17、8歳の時に読んだ時は何故今のような良い感想を思わなかったのだろう、と実はあれこれ考えていた。この2日間、考えていたことをここで整理してみる。
 
今回読んで改めてよかったのは

  1. 様々な場面の描写に無駄がなく、登場人物の言葉の選択や構成が本当に見事。台詞の一つ一つが「ある境遇を経た人が、この場面に置かれたら絶対言いいそうな言葉」で成り立ってるような印象を持った。特に第7章のストーリーの展開、描写は見事
  2. 語り手「キャラウェイ」の人格を再確認できたこと。いささか、上品すぎるきらいはあるかもしれないけど、いい人だと思う。17歳頃にこの本を読んだことがあるのだが、実はキャラウェイについての記憶が全く残っていない。その頃の僕は、まだいろんなことをわかってなくて、この人のことをよく理解できていなかったかもしれない。
  3. フクロウ眼鏡という脇役の発見。この人によって、ギャツビーは「外身だけでなく、それなりの富豪が持つ見識」を持とうしていたことを示唆している。

前回読んだ時の低評価の理由を察すると

  1. ギャツビーの人生が悲惨すぎる。首都圏近郊育ちとしてはギャツビーのまっすぐな気持ちには感情移入しやすく、その分この悲劇的結末には当時落ち込んだ。
  2. 矛盾するようだがギャツビーの設定にやや無理があるようにも思った。一途な男はいるけれど、これほどの男がいるかね〜とも問われたら、確かにどうかな〜とは今も思う。まあそれを言ってはおしまいなのだが・・・小説だからね。こういうのもありということで、あれこれ想像力膨らませて楽しむのが正解だろう。  
  3. 当時はデイジーという女性のどこかいいのかイマイチピンとこなかった。金持ちでそこそこ美人だからかなとも思っていた。大体このデイジーとくせ者のせいでギャツビーの人生が狂ってしまうわけでひどい、と思っていたのだが、今読むと理解できる。それなりの美貌とか立ち居振る舞いによって、唾棄すべき欠陥すらも妖しい魅力とやらに見えることがあるものだ。それに「純情」なギャツビーがコロッといったのかもね。

まあ他にもいろいろいい足りないことはあるが、小説については今回ここまで。

 そういえばグレートギャツビーって映画にもなっている。スゴい昔にテレビ放映でみたような記憶。ギャツビーをロバート・レッドフォード。デイジーミア・ファローが演じていた。それなりに味わいのある作品にはなっていたような。小説にはないオチをミア・ファローが美しくも妖しく演じていた記憶がある。ネットを検索したところ1974年の作品とのこと。いやスゴい昔の作品になってしまったのね。
 ミア・ファローってウディ・アレンと別れてからトンと噂を聞かなかったが、最近のリメイクされた「オーメン」に出ているらしい。今彼女はどんな感じなんだろう。
 ロバート・レッドフォードは、ブラッド・ピットと競演した映画「スパイ・ゲーム」で渋い味わい出して演じていた。結構楽しめる作品だったと記憶している。

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