新宿鮫とあるアフリカ人の思い出

 最近よく落ち込む。昨日だってそうだ。早く寝たい、眠りたいといいながら、結局寝たのは2時半だ。一番想定外だったのは、昨日のブログ程度の文章に1時間ぐらいかかってしまったことだ。どちらかといえば自分はイメージ先行で、なんとなくこういうことを書きたいというのはあるのだが、いざ文章にしてみると、しっくりこないことがほとんどで、書いてるうちに「何を言いたいのだオレは」という袋小路にハマってしまう。相変わらず稚拙な文章しか書けないものだなあ、といつものことながら憂鬱な気持ちになる。僕は本を読むのは好きだし、新しいことを学ぶことは楽しい。でも、読んだ本について語る友もなく、ある意味そのような行為は寂寥感を心根に自ら刻みつけるような感じもしなくもない。じゃあ試しにブログをやってみたら、思いとはウラハラな文体しかかけない。それが哀しい。

 次は大沢在昌の「新宿鮫Ⅸ・狼花」だ。4日前に図書館から貸し出し可能になったという連絡が入るまでは、この本を読むつもりは全然無かった。だってこの本を予約したのは去年の11月だったのだ。予約したことすら忘れていた。記憶では、予約した時は20番目ぐらいだったと記憶している。時間がかかったものだ。
 この手合いの本は、ジックリ読むより思い切りその世界に浸り一気呵成に読む、というのが醍醐味だ。読書の予定を組み替え、2日間で読む。おかげでさらにまた寝不足になってしまった。とはいえそれなりに楽しく読ませてもらった、という感じ。鮫島も格好良く描けているし、今回の敵役の女性もなかなか魅力的だ。佳作と言って良いかもしれない。このシリーズで自分が一番好きなのは「毒猿」で、この「狼花」はそこまでは行かない。が、良いと言う人も結構多いと思う。
 今回の事件にはナイジェリア人がからむのだが、この本を読んでいて、10年ほど前に出会ったアフリカ人のことを思い出した。彼はクラブのガードマンをしていて、入場ゲートの近くに立っていたのだが、彼に対し何の気なしに、フランス語で「今晩は」と声をかけたところ、「初対面の日本人にフランス語でいきなり声をかけられたのははじめてだ」とえらく感心されたのだ。彼が言うには「ほとんどの日本人がすべての黒人をアメリカ人と思い込んでいる」らしい。彼の国の公用語はフランス語で、同国人でも部族が違うと言葉が違うらしく、そういう場合はフランス語で話すらしい。まあ世界はいろいろだ。彼は元気でいるのだろうか。
 

狼花  新宿鮫IX (新宿鮫 (9))

狼花 新宿鮫IX (新宿鮫 (9))