アートイベントとpodcastと映画の話

 相変わらず週末は娘と一緒のスケジュール満載だ。
 昨日は、ある市立図書館の子ども向けアートイベントに参加してきた。僕はこのような子ども向けアートイベントにとても興味を持っている。そのようなイベントに参加できるような子に健やかに成長してほしい、といつも願っている。親の勝手な希望だけど、娘と出かけるならディズニーランドのような遊園地より美術館の方が圧倒的に行きたい場所だ。昨日のアートイベントは、渡された円形と四角の紙に自分のものと判るような絵とか記号とか文字を描き、イベント会場に置いてある丸いもの、四角いものを見つけ出し、その場所に渡された紙を置いてきて、後で皆で確認し合うというものだ。一見他愛無いことのように見えるが、このイベントに参加しているのは3歳から小学3年までのほぼ初対面同士の子ども達には、ある種の自己表現のチャンスなのだ。「こんなの簡単だ」と思えた子には「僕ってスゴい」「わたしってできるでしょ」を示すチャンスだし、年下の子達には、年上の子達の立ち居振る舞いを学ぶチャンスでもある。このイベントの趣旨は、図形の認識とともに、その発見というプロセスの中で生まれるコミュニケーションという活動にも着目してると見受けられた。当初は内弁慶のわが娘のおどおどした姿にハラハラしていたが、集まっていた子ども達の中から「何となく気になる子」を見つけ、互いにアイコンタクトを交わし合って、イベントの過程で徐々に打ち解け合い、終わる頃にはすっかり仲良くなって、手をつないだりしながら会場を一緒に嬉々と走り回るまでになる、という過程を観察することができた。ある種のコミュニケーションにより新たなる人間関係を作り出したわけだ。そういう姿に娘の成長を感じて、なんか嬉しかった。
 遊園地の様な娯楽施設の全てを否定するわけではないが、そのような場所では、僕らは「受け身」だ。向こうが用意した娯楽をただ頂くだけだ。何かを作りだす楽しみがない。ちなみにそのアートイベントは市立図書館のプロディースということで「無料」だ。ちなみに親の僕も、そういうアート好きな親、イベント会場の人、アートイベントを企画した若いアーティストとコミュニケーション(単なる雑談だけど)が出来て楽しかった。ただ集まった親の半分くらいは、子どもがワイワイとイベントに参加している間、うたた寝していたね。その気持ちもスゴくわかる。ほんとに。


 今週は読書を一時中断し、溜まっていたpodcastを聴いていた。モーリー・ロバートソンが配信しているi-morley、そしてTibetronicaのおかげで、中国について、日本のマスコミの問題点について色々学ぶことができた。今日の日経新聞に中国関連の記事が載っている。社説の「中国の「法治」を世界が注視している」、コラムの「中国、調和型成長への模索・問われる胡錦濤政権」だ。僕はこの記事を大変興味深く読むことができた。モーリー・ロバートソンが中国を旅しながらpodcastインターネットラジオで伝えてくれた、リアルな中国社会の情報があるおかげで、記事の文章が伝えている情報以上の、この記事の行間にある見えないものに対するイマジネーションが働いたからだ。とはいえTibetronicaのインターネットラジオのおかげで一昨日も昨日もかなりの夜更かし。今夜もライブが有りそうだ。どうしよう。


 podcastではもう一つ「町山智浩のアメリカ映画特電」を聴いている。これは映画を観てなくても楽しめる稀有な映画情報podcastだ。大変な数の映画を観ていてる人で、この俳優は過去にこんな映画に出ていた、この監督は前にこのような映画を撮っていた、といった話題が軽妙に語ってくれる楽しくて勉強になる番組なのだ。最近聴いたpodcastでは、過去の作品からの引用、パロディ、オマージュとして作られた映画について語っていて、タランティーノの「ジャッキーブラウン」もその一つらしい。実はこの映画、僕の中ではタランティーノの中では一番気にいってるのだ。むろん、ロバート・デニーロが何故情けないチンピラを演じているのか、など疑問があるけど、主役を演じた二人の、日本では全然有名でない俳優に対するタランティーノの敬意というか愛情を感じて、そのことがとても印象に残っている。タランティーノの作品の中では暴力的な場面も少ないし、ちょっと異質な感じも魅力の一つだ。「町山智浩アメリカ映画特電」によると、この「ジャッキーブラウン」にはかなり昔のメロドラマからの引用があるらしい。それがある年代のアメリカ人なら誰でも知ってるような人気のドラマで、タランティーノも結構お気に入りだったとか。なるほど、たかが映画とはいえ深いものだ。


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