過酷な1週間と「24」シーズン1

 ハードな1週間だった。夜はしっかり眠れるようとあれこれ工夫はしてみたが、結局不安で寝付けなかったり、変な夢をみたせいで夜明け前に目が覚めたり。それでなのか、今はとても疲れてる。身も心も疲れている。心底疲れている。
 この10日間ほど前から、僕は職場の人間関係の抗争に巻き込まれている。敵はなかなかのやり手だ。職場のかなりの上層部にかわいがられているほどの営業上手。しかも現場のナンバー3と「大人の関係」にあるという凄腕の女性だ。本来は何の権限もない立場の彼女だが、そのアグレッシブな行動によって職場の権力者たちを惑わし、気が付けば能力とは無縁な彼女のお気に入りの人ばかりを周囲に集め、能力はあっても気に入らない人は排除しようとしているらしい。そんな状況を知った僕は、「昼行灯」的なキャラを捨てて、行動を開始したのだ。長きに渡って地道に働いて得た仕事上の信用と、営業は凄腕でも現場の仕事であSE・プログラマーとしての能力が全然駄目、という彼女の真実が武器だ。個々に散っていた味方を集め連携し、まだ実体を知らない人にこの実体を密かに伝え、彼女のやっている事がジワジワと明るみにでるように今画策している。いまのところこちらの思惑どおり事が進んでいるようだ。
 こんな感じで書いていると、まるで社会派企業小説のような世界のようにも見えなくもない。僕としても下手をすれば職場にいられないくらいの騒ぎになって、あげくの果ては失業そしてワーキングプアライフに突入(今もそんなようなものだが)するかもしれないという緊張感はかなりあった。
 でも同時に、かなりシラケた気分になっている。だってね、「敵」の女性がセクシーな魔性の美貌を持った女性ならまだいい。ベタな発想だが、そのほうが今回の事態に対する説得力がある。皆色気には弱いから。ところが現実の敵はどこにでもいそうな外見の30代後半の天然が抜けてないヒステリックなアダルトチルドレン女性だ。「ナンバー3は彼女のどこが良かったのか?」と疑問に思うし、そんな女性に職場のお偉方が何故か振り回されているのも不思議でならならい。彼女の仕事のレベルなんて3日も一緒に働けばわかる低レベルなのに何故か上層部は気付いていない。阿呆らしい話だ。
 とはいえ僕も小心者で、彼女と対決する決断をしてから夜も眠れない状態になっていた。情けない話だ。今週はインターネットもそこそこに、さっさと眠るようにしているのだが、夜明け前に目覚めたりと、本来の生活リズムを取り戻すことがなかなかできない。

 そんな状況の中、唯一の娯楽はアメリカのテレビドラマ「24」だ。これはある飲み会で、職場で働いている女の子から「24」シーズン1がお気に入りだとかで、この誰かとこのラストついて語りたい、ということを聞いたからだ。この子は、例の「敵」の女性とは違って、若く穏やかで知性があり、見た目もかわいい人だ。僕の知る限り、職場の男性に限ったとしても彼女にアプローチをかけているのは3人いる、不思議なことにこの3名は誰も「24」シーズン1を観ようとしていないとのこと。なんて愚かなことだろう。これを観れば、彼女と盛り上がるというのに・・・
 現在、22時間まで見終わった。いささか強引な展開に突っ込みも入れたくなるけれど、それなりに面白い話だ。衝撃のラストまで後2話だ。