久しぶりの娯楽映画鑑賞

 精神的疲労の蓄積が続いている感じなので、ちょっと気分転換として、職場の後輩から借りた「パイレーツ・オブ・カリビアン」と「パイレーツ・オブ・カリビアン2」のDVDを観た。僕は、この手のエンターテイメント映画に有りがちな都合良いストーリー展開に着いていけないこともあるのだが、このシリーズは予想以上に楽しめた。この映画の面白いところは、主要な登場人物3人が皆3枚目的要素をもっているところかな。ジョニー・デップ扮するジャック・スパロウ、オーランドブルームのウィル・ターナーキーラ・ナイトレイのエリザベス・スワン、皆それぞれ癖がある。それ故人間味が感じられ親しみも持てるし、その分感情移入しやすい。映画の進行ともにハラハラドキドキしたり、「オイオイ、そりゃナシだろう」とツッコミいれたり、と楽しむことができる。好きなキャラクターは誰かときかれたら、自分は女好きのおじさん故キーラ・ナイトレイを上げるのだが、オーランド・ブルームも良かったし、非道になりきれないちょっとドジな海賊ジャック・スパロウを妙なノリで演じてるジョニー・デップも悪くない。大体この映画の魅力の一つが、この3人の絡み合いだ。
 敵役のついてだけど、ジェフリー・ラッシュが演じているバルボッサは、敵役の海賊の親分にしては線が細い気がするが、「2」のタコ顔デイヴィ・ジョーンズのキャラクターは、はかりしれない「屈折」した心が感じられてなかなか良いと思った。
 ただ「2」は、今公開中の「パイレーツ・オブ・カリビアン3 ワールドエンド」の導入部で、あまりに露骨な「To Be Continue」という終わり方にしばし唖然としてしまった。もうすこしひねってほしかったなぁ・・・
 
 だけど今回観たDVDで一番度肝を抜かれたのは、意外にも「2」のメイキング映像だった。「2」と「3」の2本分を同時に撮影するため、というのもあるだろうが、200日以上をカリブ海でのロケーション撮影で費やし、同行する関係者は常時約400名。ピーク時は1000人のスタッフを使う。小道具、大道具などの撮影用の機材も膨大な量で、輸送船一隻分に相当する。撮影用の帆船も2隻製作する。とにかく製作の規模が大きいのだ。
 「トップガン」「ビバリーヒルズ・コップ」「パール・ハーバー」等々数々のヒット映画を製作したジェリー・ブラッカイマーだけあって資金力と製作能力が違う。いろいろ批判はあるようだが、これだけの規模の映画を製作するにはそれなりのマネジメント能力がないと難しい。ロケ中の毎日の食事の手配だって相当なエネルギーがかかると思う。彼の映画は、派手なわりに内容が薄いという言われてるらしく、まあ僕もその意見には賛同するが、ただ「万人にうける娯楽作品」という映画作りに徹している点は潔いとも感じられる。彼には、監督の個人的なトラウマをテーマにした映画なんて論外だろうね。個人的には「2」のメイキングをもっといろいろつめて長編ドキュメンタリーとして観たかった。これだけの大所帯で映画を作っているのだ。イロイロあったと思うのだよね。制作者、監督、脚本家などのスタッフ同士の確執、監督と俳優と演出を廻っての主導権争い(あったら面白い)、その他様々なトラブルで難航する撮影、ハリケーンによるオープンセットの破損からロケ中止の危機。そんな映画製作ドラマが、カリブ海の美しい海と島を舞台に繰り広げられるのだ。本編よりも人間ドラマ的な深さがあって面白いかもしれない。

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト スペシャル・エディション [DVD]

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