チ性のチは破廉恥のチ
今回は2冊。
忍びの卍 (講談社ノベルススペシャル―山田風太郎傑作忍法帖)
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/03
- メディア: 新書
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またこの山田風太郎作品の忍術はエロス満載だ。この本には、女性の皮膚を全て性感帯に替え、性の虜として操るとか、性的結合により女性の肉体に乗り移り、その体を借りて行動するとか、これ以外にも凄い技があるのだが、説明するのがさすがの僕でも恥ずかしい忍術が満載。この人はなんでこんな作品群を書いたのか、時間があれば調べたい。
なんとなく荒唐無稽な活劇エンターテイメントを期待して読んだのだけど、陰鬱で重厚感あるストーリーで、結末も悲劇的で、エロスだなんだ、というわりにはしっとりと読んでしまった。
次は平野啓一郎「顔のない裸体たち」
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/29
- メディア: 単行本
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とはいえ、読んで見て大変感心した。大概の作家は文体に個性があってそれなりの「におい」を感じるのだが、この本についてはそれがない。作家とは異なる人格が語っているように思える。心理学者のような人が書いた、事件の詳細な報告書のような体裁になっているのだが、作家の匂いがなくなって、そのせいで大変リアル感ある創作世界になっている。この世界に僕はかなり引き込まれてしまった。本当に才能のある作家だと思う。機会があれば他の作品も読んで見たい。