松井冬子展「Narcissus」成山画廊

 http://www.gallery-naruyama.com/exhibition.html
 今出来る自分のしたいことをしようと考えている矢先に、この展示のこと知って何となく出かけてしまった。絵画鑑賞っていうのは展示してある場所と、開いている時間以外に制約がないので、朝起きた時などのその時の気分で出かけられるのがいい。昨日もそんなような感じだ。
 なんとなく予感はあったのだけど、大変狭い場所での展示でかなり驚いてしまった。作品もわずか5点。それでも生で、しかも間近で彼女の作品を鑑賞することができたのでまあ良かった。当たり前の話で、シロウトが改めていうことでもないが、色使いとか線とか伝統的手法と思われるしっかりした技術があり、その上で現代的で独特の彼女なりの世界観の描写対象が絵の上で調和しているのだぁ、と感じた。
 画家「松井冬子」を初めて知ったのは一昨年の東京都現代美術館でやっていた「MOTアニュアル2006 No Border - 「日本画」から/「日本画」へ」という展示でだ。恥ずかしながら日本の現代美術家なんて全然知らなくて、その展示も何となく入った、という感じだったのだけど、彼女の作品群だけが他の人とちょっと趣きが違ってて、グロテスクではあるけど不思議な力を感じ、「心病んでそうだけど良い画家じゃない」なんて思ったのが最初。だからね、家に戻ってインターネットで検索して彼女の写真を観た時には、本当に椅子から転げ落ちそうなぐらいショックを受けてしまってね。こんな美人画家の生い立ちに一体なにがあったのかぁぁ、とついついらない妄想をしたりしてね。以来マスコミ媒体で「新進気鋭の美人画家」といった感じで彼女が取り上げられるのを観る度に、少々複雑な気持ちになっている。彼女の絵を見て気に入ったのだが、なんか今松井冬子の絵が良いよといっても、ミーハーなんだから的な評価をされそうで、なかなかそれを言えない自分がいる。アート好きの純粋な気持ちとしては、そういう彼女より、彼女の絵を純粋に観たい、というのが正直な気持ちなのだけどね。。まあ、無論松井冬子は奇麗な女性と思うし、はっきりいって「タイプ」なんだけれどね・・・。
 彼女の作品には幽霊画や、内蔵をあらわにした女性画が知られているようで、僕も嫌いではないけれど、スケールの大きな襖図にも魅力を感じている。またどこかで観たいものだ。

 松井冬子オフィシャルサイト http://matsuifuyuko.com/