倦怠そして無為の日々

 スタニスワフ・レムの「天の声」読了。いやはや読むのが難儀な本だった。前回紹介した旅の本をハイキングとするなら、この「天の声」は命綱なしのフーリークライム。気を抜けば一気に奈落の底、って感じだ。読んでいて爽快、といったたぐいの本ではない。むしろ鬱屈した気分になる。この小説は、宇宙からのニュートリノ粒子波を記録したテープを解析する、極秘プロジェクトに参加した一人の科学者が残した手記というスタイルを取り、宇宙のどこからやってきたニュートリノ粒子波によるメッセージ、いわゆる「天の声」について研究の経緯を語っている。天の声とは何か、異星人は何を誰に伝えようとしてるのか、研究を進めるうちにこの「天の声」はもしかしたら宇宙そのものが発信していて、あらゆる生命の誕生にかかわり、我々人間の発祥の一つ要因ではないのか、等々語られてゆく。その中で核兵器ホロコーストにも触れていて、そのような行いをする人間に「天の声」は何をさせようとしているのか?という疑問にを持つところがあるのだが、自分にはレムが「我々は一体何か?」という問いをこちら側に投げかけてるように感じた。
 ホロコーストで思い出したが、「SSの歴史」に書いてあった、ユダヤ人虐殺の記述は本当に驚いた。SSは当初機関銃などでユダヤ人を殺戮していたらしい。僕の経験上からいうのだが、世の中善人という人は少ないけれど、悪人もまたしかりで、極悪非道なんてそうそういるものではない。「女性と子供」を大勢殺してまともでいられる人などそうそういない。事実多数のSS隊員が精神的におかしくなったらしい。どうしてそこまでして・・・。なにか読んでいて憂鬱になって「SSの歴史」は読書が進まず、読了前に期限切れとなって図書館に返却してしまった。
 レムは第2次大戦時は20代だ。その時代の空気というものをおそらく記憶しているだろう。

 そんな重たい本を読んだせい、というわけではないが、先週末は何かと疲れていた。自分の時間は夜。眠りに入るのは1時〜2時。また今週は職場の避け難い付き合いがあり、時間も取られるしストレスもたまる。本や映画などの話題からいろいろ盛り上がる飲み会は得意だが、職場の人間関係等の話題中心の飲み会はなかなか苦手だ。おまけに腰痛は相変わらずだし、今ひとつ乗り切れていない。
 そんな訳で非常に疲れたので、この週末はカミサンから自由時間を頂いたのだが、それを漫画喫茶で「のだめカンタービレ」を7巻まで読むことに使ってしまった。まあ楽しかったからいいのだが。
 そんな締まらない時期もある。とりあえずここまで。

髑髏の結社・SSの歴史〈上〉 (講談社学術文庫)

髑髏の結社・SSの歴史〈上〉 (講談社学術文庫)

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

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